不動産売却査定依頼の急増と「家じまい・相続」ニーズの拡大
2025/08/29
この5年間で不動産売却査定の依頼件数は**約4倍強(431%)**に拡大しています。背景には高齢化と核家族化が進むなかでの「家じまい」や「相続」への対応が大きく影響しています。
LIFULL HOME'Sのデータによれば、査定依頼理由のトップは「相続」で、2025年1~3月期には23.1%に達しました。
つまり、査定依頼の約4件に1件が相続絡みという状況です。
さらに、現所有者の高齢化を理由とした“家じまい予備軍”も12%前後と増加傾向にあり、相続発生前後を問わず売却ニーズが顕在化していることが分かります。
特徴的なのは、こうした動きがコロナ禍以降の住宅価格上昇とリンクしている点です。価格高騰を背景に「相続した不動産を資産として早期に現金化したい」というニーズが増加する一方で、親の介護や家財整理といった切実な理由による売却相談も目立っています。
核家族化が進んだ現代では、親世帯と同居するケースは稀であり、実家をどうするかという課題は子世代が単独で判断するテーマになりつつあります。こうした社会構造の変化は、今後も査定依頼件数の増加を後押しする要因となるでしょう。
不動産事業者にとっては、単なる査定対応にとどまらず、相続・介護・資産整理といったライフステージに寄り添った提案力が、ますます重要になっているといえます。